1. いす式階段昇降機の概要

いす式階段昇降機は、自宅の階段に設置することができる階段昇降機です。 座ったまま階段を昇り降りすることができるので、階段の昇り降りが困難ななってきた方が安全に階段昇降ができる環境をサポートし、自立した在宅生活の維持にとても重要な福祉機器です。

2. 階段昇降機の設置条件

階段昇降機を設置するためには、いくつかの条件を確認する必要があります。以下に、階段昇降機の設置を判断するための条件をご紹介します。

2.1 階段の幅(有効幅)を確認する

階段昇降機を設置する階段の幅(有効幅)を確認しましょう。 直線階段の場合は、約70cm程度の階段の有効幅が必要です。 曲がり階段の場合は、約75cm程度の階段の有効幅が必要になります。直線階段用と曲がり階段用の階段昇降機では、椅子やレールの形状などが異なるため、必要とする階段の有効幅も変わってきます。築年数の古い住宅や、生活空間を優先した住宅などの場合は、階段幅が一般的な住宅の階段よりも狭く作られていることがあり、階段昇降機の設置ができないこともあります。

2.2 階段(踏板)の材質を確認する

階段昇降機は、階段の踏板に直接固定して設置します。一般的な階段の材質である木材・コンクリート材・鉄材などであれば問題なく取付可能ですが、特殊な材質の場合は、現場調査後に問題のない設置方法を検討する必要がある場合があります。

2.3 イスの収納スペースを確認する

階段昇降機は、使わないときは折りたたむことが可能ですが約38.5cmの幅が必要です。レールやイスが他の家族の通行の妨げになる場合もありますので、生活環境などを十分検討する必要があります。

2.4 コンセントの位置と空きを確認する

階段昇降機は本体に搭載されたバッテリーからの電力供給で動作します。 バッテリーの充電には交流100Vから直流24Vに変換する充電器を設置するため、階段の近くにコンセント(電源100V)が必要です。コンセント自体は特別な仕様ではなく、一般的な家庭用のコンセントでは問題ありませんが、階段から離れた位置にコンセントがある場合や、コンセントを階段昇降機のために利用することができない場合などは、新たに階段の近くにコンセントを設ける必要があります。

2.6 屋外階段の設置には道路境界線に注意

階段昇降機を設置する場合、屋外階段に設置するケースもあります。建物の敷地内であれば問題ありませんが、場所によってはレールやイスが敷地外にはみ出してしまう事があります。屋外階段は公道に接する場合が多く、敷地と公道の境界線を超えないように注意して設置する必要があります。階段の1段目から境界線までのスペースが狭い場合は、レールやイスが境界線を超えしてしまうため、階段昇降機の設置ができない可能性もあります。境界線に干渉する場合は、設置図面を作成し、設置可能な方法を検討しましょう。

3. 階段昇降機の設置事例

階段昇降機にはさまざまな設置事例があります。ここでは、一部の設置事例をご紹介します。

3.1 住宅向けの設置事例

  • 直線の階段に設置された階段昇降機:直線の階段に設置する階段昇降機の設置例です。イスの収納スペースやレールの配置などが工夫されています。
  • 曲がり階段に設置された階段昇降機:曲がり階段に設置する階段昇降機の設置事例です。特殊な形状の階段にも対応しています。

4. まとめ

階段昇降機の設置にはいくつかの条件がありますが、設置する階段の形状や幅に合わせた適切な階段昇降機を選ぶことで、足腰の弱い方や身体の不自由な方が安心して利用することで充実した在宅生活の優れたパートナーとなります。設置事例を参考にしつつ、自分の階段に合った昇降機を選びましょう。